雪のかけら(ファンタジー編)


□チャングム・ファンタジア(全四章)
1ページ/38ページ

第一章T 冒険

ハニャン王国。
広大な土地に聳え立つお城を中心に、城下町が栄えており、人々は平和に過ごしていた。
国王はとても人望が厚く、有能で、国民に慕われていた。
国王の息子チョンホ王子も、皆から愛されていた。
勉学や武芸に長け、真面目で、長身、イケメンであった。漆黒の瞳と端整な顔立ちが女性達の心を掴んで離さなかった。
国王は、そんなチョンホ王子を、目に入れても痛くない程愛していたが、一つだけ不満が有った。
それは、一向に妃を迎え様としない事だった。
世継ぎ問題は王国にとって、最重要問題で有る。
近隣の国の姫君達が、チョンホ王子のハートを掴もうと、毎日の様に謁見を望み、プレゼント攻撃をしているが、チョンホ王子の心を掴んだ物は一人も居なかった。
姫君達とデートするよりも、剣術の練習をしている方が、チョンホ王子は楽しかった。
「キン!!」
「キン!!」
剣と剣のぶつかり合う音が、訓練場に響き渡る。
「チョンホ王子、また腕を上げられましたね?」
「当然だ。」
剣で互いに押し合いながら、チョンホ王子の練習相手で、兵士隊長をしているイ・ファンが驚いた様に言った。
イ・ファンも、長身のイケメンで、チョンホ王子の次に人気が有った。
チョンホ王子と貴族のイ・ファンは、子供の頃から兄弟の様に仲が良く、剣術や武芸をずっと競い合って来た。
イ・ファンは貴族階級に有りながら、チョンホ王子を護衛する兵士を自ら志願する程、チョンホ王子を尊敬し、慕って来た。
「でも剣術ばかりされてよろしいのですか?国王様が、早く孫が見たいと呟いておられましたよ。」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ