雪のかけら(済州島編)


□済州島の吹雪
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済州島には冬が訪れ、寒い日が続いていた。
長今は、政浩の暖かな支援の許、長徳の薬房で医女見習いを続けていた。
長徳の厳しい指導に耐え、日々医女として必要な医術を学んでいた。
「ソ内人。」
政浩は仕事を終え、長徳の薬房に現れた。
「ナウリ、お疲れ様です。」
長今は、帰り支度を済ませ、今まさに薬房を出ようとしていた。
政浩は、早く仕事が終わる日は、薬房から帰る長今を待ち伏せするかの様に、長今を夕餉に誘った。
「今日は、熱々のチゲです。一緒に温まりましょう。」
「はい。いつもありがとうございます。」
長今は、嬉しそうに頭を下げる。
政浩は、他の見習い医女達の視線を気にせず、長今を特別扱いした。
それにより、やっかむ者もいたが、長今の医女としての才能を見せ付けられ、文句を言う事が出来なかった。
政浩はと長今は、政浩の屋敷で楽しいひと時を過ごす。
「美味しい。」
長今の笑顔が嬉しくなり、政浩は瞳を細めた。
「やはり、冬はチゲが一番ですね。」
二人の鍋は、瞬く間に中身がなくなって行く。
「はい。」
長今は、頬を赤く染め頷いた。
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