雪のかけら(済州島編)


□済州島の雪
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長今は、崔尚宮の罠にまんまと嵌ってしまった。
呉兼護(オ・ギョモ)と崔尚宮が結託し、長今と韓尚宮に無実の罪を被せたのだ。

政浩が、内禁衛の隊長の手により、蔵に閉じ込められている間に、長今と韓尚宮は流刑を言い渡され、済州島へ向かう船まで歩かされていた。
政浩はようやく解放されると、慌てて義禁府へ向かった。
「もう発った。」
政浩は義禁府の同期に、無情にもそう言われた。
「どこへ?どこへ行ったのだ?」
同期は無言で俯く。
「どこだ!!」
政浩は声を荒げた。
「済州島だ。」
済州島・・・・。
そんな遠くへ・・・。
政浩は愕然とした。
「既に終わった事だ。お前にはどうにも出来ない。判決は下されたんだ。」
淡々と言う同期のその言葉に、政浩は怒りをあらわにし、同期を睨み上げた。
政浩は、居ても立っても居られず、傍につないで在る馬に跨り、海岸へ向かった。
長今は船に向かう道中に、韓尚宮と死に別れ、憔悴しきっていた。
罪人達が済州島へ流されるこの船は、絶望感に覆い尽くされていた。
拷問の跡が生々しく、長今の額に刻まれている。
長今は俯き、ただ下を見るだけだった。
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