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□紅い華の夢
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昼に流す涙は光に照らされて綺麗だった。
「修兵、」
「はい?」
「もう一度、抱き締めていいか?」
「いいですよ…」
今は、羞恥とか気にせず抱き締められてあげよう。
この本当は弱くて脆い、彼の為に。
謝罪の時とは違って、抱き締める強さも勢いも弱々しかった。
腕の中に有る、ぬくもりがこんなに心強いなんて知らなかった。
あの場所を降りて、初めて手にしたぬくもり。
暖かくて、心強くて、癒される、そんな小さな幸せの結晶。
一生が短くて、儚い
『人間』だから、存在しえるぬくもり。
それは煌めきの強さ。
長い間、抱き締められていたような気がする。
でも、もしかしたら、本当はそんなに時間も経ってないのかも知れない。
(今更、ドキドキしてきた…//)
顔に熱を持ち始めた頃に阿近さんの腕が離れた。
「悪い…」
「謝らないで下さい…」
「有難う、な…」
「はい。」
2人の間に笑みが零れ初めてた。
もう、あの悪夢は消えていた。
儚いとか、脆いとか、確かに有るかもしれない。
でも、そんなの大した問題じゃないんだ。
だって、俺たちは生きてるんだもん。
今と言う、一瞬を生き抜いているんだから。