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□紅い華の夢
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鵯州はグルグルと自分の部屋の中を何度も彷徨いていた。
部屋に掛けてある時計を見ると12時を少し過ぎたところ。
(…腹減った)
しかし、自炊は不可能。
何故なら、昔どうしても我慢出来なくて自炊をしたところ、台所が軽く吹っ飛んだから。
(あの時は殺されるかと…阿近怖かった…!!)
以来、阿近には台所に入ることすら禁じられている。
腹の虫が盛大に三回鳴いた。
(…昼飯…でも阿近が部屋から出て来ねぇ。)
修兵と何をしているのか知らないがいくら待っても出て来ない。
とうとう、五回目の腹の虫が鳴いた鵯州は阿近の自室へと走った。
バタバタと気の抜ける足音が近付いてきた。
「…?」
疑問符を浮かべたのも束の間、次には盛大な物音ともに襖が開けられた。
スパンっ!!
「阿近腹減った…!!」
「五月蝿ぇ!生米でも喰ってろっ!!」
ビュン!!
「ぐえ…!」
(…今度は枕か;;)
「ったく、勝手に入ってくんじゃねえよ!黒こげにすんぞ?!」
むく。
「何でも投げんなよ!」
「五月蝿ぇって言ってんだろっ!?」
(あっ生きてた…)
「じゃあ、台所入るぞ」
「テメェはまた台所を潰す気かぁあっ?!」
「何だよ…修兵だって腹減ったよな?」
「修兵とお前を一緒にすんじゃねぇ!」
「…うーん、お腹減ったかな?」
「よし、昼飯にするか!ったく鵯州早く来い!!」