□月光の真実
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月明かりに照らされて、一筋の滴が堕ちていった。


俺はまるで俺の心のようだと、其れを見つめていた。



「もう、」

「…?」

「もうどうでも良いじゃねえか、」


その言葉を聞いて、俺はなんて下らない、
捕らわれる意味なんて何もないのだと知った。


「俺は…、」

「あぁ…」

「俺…は」

「ゆっくりでいい」



「俺は…阿近さんと居たい、ずっと」


人間なんて嫌だ、
神も嫌だ、


「どうして…阿近さんは人間じゃ…ないの?」

「俺はどうして…人間に生まれたの?」



「貴方と同じ時を生きたいのに」


涙混じりで語られた言葉たち、彼はそれを全て聞いた上で俺を再び強く抱き締めた。


「お前に…言ってないことがある」

「…言ってないこと?」


「もっと、早く言っておけば良かったな」


阿近さんはそう言って黙ってしまった。


「言って…何を隠してるの?」


阿近さんは俺の肩口に埋めていた顔を上げて、真っ直ぐ俺を見て言葉を放った。


「俺は…もう」

「もう?」




「永く生きれないんだ」

「え…」


ねぇ、それはどういう意味なの?
ねぇ、教えてよ、


お願いだから、
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