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□短編集B
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お爺さん、お婆さん?
仔角弓。




在るところにやっぱりお爺さんとお婆さんではなく、
「髪の毛は?その年でもう?」と言いたくなる少年一角と
「ナルシスト?ごめんね、でも美しいんだもの」みたいな弓親少年が暮らしていました。

彼等はかなりチャンバラが好きでした。
血みどろになる日も少なくありませんでしたが彼等はそれすら楽しくて堪りませんでした。
2人はそんなかなり危ない少年たちでありました。


さてさて、今日も今日とてチャンバラが始まるかと思えば今日は違いました。


「ねぇー、一角ぅ」

「あ?なんだ」

「鬼さんのとこの奥さんにタケノコもらったんだけど」

「…それ、あこんとしゅうへーのことか?」

「ソレ、ソレ!」

「ソレって…で?」

「タケノコをさー」

「タケノコを?」



「どこで売ったらいちばんタカーく売れると思うかい?」

「売るなよっ!もらったんなら使え!」

「タケノコはアクがあるんだよ?肌があれたら美しくないじゃないか!」

「いや、わかるけどよっ」

「だって、タケノコなんて肌あれのてんてきっ…!」


よよ、よ、と弓親少年は床に崩れ着物の袖で涙を拭う芝居を始めました。
流石に芝居だと分かっているので、最愛の妻と言えど動揺することはありませんでしたが、このままだと機嫌を損ねてしまうので一角少年はビシッと言いました。


「弓親!」

「なぁに、一角ぅ…?」

「タケノコのアクくらいでオマエのうつくしさはそこなわれたりしねぇ!//」

「一角!//」


2人はひしっと抱き合い2人の世界へと旅立ちました。
暫く帰ってこないでしょう。

そして、件のタケノコさんは2人のピンクオーラにアテラレ、哀れにもピンク色になってしまったとか。

結局、ピンクに染まったタケノコは食べられることも売られることもなく庭に植えられ、毎年ピンク色の竹林を広げているそうです。


おしまい。
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