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□青き月
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俺はその日、
この世で決して捕まってはいけない男に捕まった



空にはまだ満月になりきれてない月が浮かんでいた。












薄暗い見知らぬ部屋、俺は気付けばそこに居た。


「…何のつもりだよ」

「んなキレんなよ?」

「拉致っといて言う言葉じゃない」


確かに油断していた点は有るかも知れない。
しかし、それが此処に居る理由になるとは俺は思えない。


薄暗い見知らぬ部屋、それでも月のお陰か中は良く見渡せた。


何度確認しても部屋の面積は変わらない。


フローリングになった室内。
俺が居る寝室だけ見ても十畳…否それより倍有るように見える。


『…金持ちかよ』


不満ばかりで気分は最悪に近付く一方だ。



この部屋が寝室と決めつけたのは他でもない、俺が今そこに座らされてるからだ。

キングサイズのベッドと言うのが頂けないが。


『…落ち着こう』


そう思い部屋を見渡す。俺の視界に入るのは大きな窓。

大して電気の付いていない部屋では、月明かりだけは綺麗で、唯一俺を穏やかにさせた。

これで月が小さかったりすると俺は確実に暴れていた気がする。



「急に大人しくなるなよ怖いだろうが」

「人がやっと落ち着いてきたのに神経を逆撫でんじゃねぇよ…」

「現実逃避の間違いだろうが」


この男はいきなり人を拉致っておきながら、偉そうにしやがって。

だいたい、誰のせいで現実逃避なんて悲しいことをしていると思っているのか…。


溜め息が出るものの、逃げれないのは目に見えていた…。
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