ブチコミ

□甘味料
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秋の風が気持ちいい。

香る風は仄かに甘かった


『…あぁ、そっか…。』

甘いのは、きっと君のせい…。



甘味料








「ジーク、ちょっと」

「どうした、ハル?」


風上に居た彼を呼ぶ。
ジークは、怪しむ様子すら感じないくらい、簡単に近寄って来てくれた。


近づくと改めて香るジークの匂い。
人の、まして男の体臭とは思えないくらい、彼の匂いは、甘かった。

香水とは思えないが、一応聞いてみた。

「ジークは、香水とか付けてんのか?」

「…香水…香水などは、付けてないが何かあったのか?」

案の定、ジークは、香水を付けていなかった


「否、なんかさ」

「どうした?」


「ジークの匂いって甘いよな!」

「は…?」


彼は、意味が分かっていないらしく、眉間にシワを寄せた。


「ハル、言って意味が分からないのだが…」

「うーんだからさ体臭が甘いって言うのかな!」

「体臭がか?」


余計に分からないと彼は言う。

「甘いというのは、やはり嫌なのか?」

「何で?」


彼曰く、ジークは甘いものは嫌いなので、ハルもそうなのかと言う。


『…それって』


「ジークってさ、」

「?」

「可愛いよな。」

「なっ////」


だって可愛いだろ。甘い体臭が嫌いかを俺に聞くなんて…俺に嫌われたくないって事だよな。







「心配しなくても、俺は…ジークの事が好きだ」


それは、この先ずっと変わらない。変える気もない事だから。

「…っ!…そんな事は、聞いてない…///」

「ジークって素直じゃないよな!」



香る風は、仄かに甘かった…。

それは、君のせい。


風は、君の匂いを運んで俺にまで…。


君の匂いは、風となって甘味料となって俺に癒しを運ぶ。
 

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