血界戦線

□亀の騎士の装備品は傘。
1ページ/1ページ





俺は昔から嫌われている。






…性格が悪いわけではない。…と自分では思う。

ただ、同級生を筆頭に俺は時には学校中に嫌われていた。


もう、この際だからはっきり言おう。


俺、レオナルド・ウォッチは『雨男』である。


何だ、そんな事かと思った皆さん。

俺はそんじょそこらの『雨男』ではない。


もう、なんか究極だ。
酷いときは災害レベルだ。



農家の人たちには雨乞いされることもあったが、それも程ほどだ。




学校行事は俺が出ると必ず雨。
そもそも道を歩くだけで雨が降ることもざらだ。

それも、決まって傘がないときに限って。


だから普段から傘を持ち歩いて生活しないといけなかった。
ついでに結構立派でかさばる傘しか受け付けない。
折り畳み傘なんて他人が飾る照る照る坊主より効かない。



台風時期は局地的な豪雨は決定事項。
小規模台風すら大型台風になるので、その時期は唯一の味方農家さんすらキレる。

流石に申し訳ないので、立派な傘を室内でも持ち歩く。
この時期は寝るときすらいっしょじゃないと災害になるから気が抜けなかった。






『雨男』なんだそれ!
いったい全体なんなんだ!

神様、俺は何をしたのでしょう?





俺は自他共にこの『体質』が大嫌いである。









僕は亀の騎士で雨男。
なんてカッコ悪いフレーズか。



『晴女』、『晴男』なんて程遠すぎで聞くのもイヤだ。



しかも、俺を打ち負かす奴はまだ現れていない。













今日も俺は亀の騎士で雨男。
装備品はやたら金の掛かった丈夫な『傘』。

ついでにあまりにも場違いでHLに来てからはカツアゲに会うこと必須だが、俺の手を放れた瞬間から抑制された『雨』が降るので、在る意味『相棒』過ぎて笑えない。


俺が今日もこの街で何とか生きているのは『傘』のおかげでもある。


嗚呼、納得いかない。
何だ、究極の『雨男』で装備品…むしろ封印具が『傘』って!




そして、今『相棒』共々ピンチです。
だから一体全体俺が何をした?!




「少年逃げろ!」


「傘!」


「また傘か!ってコラ!取り返そうとしないでその手を離して逃げなさい!!」


「アンタなんかにこの『傘』の価値が分かってたまるかってんですよ!オイ!お前!俺の傘から手を離せ!」


「ウルサい、さっきから傘、傘!そんなに大切ならこうしてやる!」




おいおい!やめてくれよ!?
ってマジか!マジでやめて!


マジか!本気でコイツ傘折りやがった!




嗚呼、憎たらしくも優秀な『相棒』。
助けてやれなくてゴメンな!


理解した瞬間、恐ろしい豪雨。
ゲリラ豪雨なんて言葉もあるけど目じゃない。

何せ数年分の『雨』だ。

俺の周りを囲うような中途半端な距離は目も開けれないくらいの集中豪雨。
雨粒は最早凶器である。

口開けたら溺れる。


傘を折った敵は凄まじい雨粒によるGで地面と友達状態。


究極な『雨男』を舐めんなよ!



嗚呼、『相棒』。
俺は流石にダメだ。

雨で溺れるって何?!
雨のGで死ぬとかない。




「(ミシェーラ、兄ちゃんはもうダメみたいです)」


「わー!少年しっかり!うぶっごぽ!」


「(あー敵だけでなく、味方も殺すなんて…スティーブンさんスミマセン)」


「し、じょ!少年ん゛ん゛!え、えすめらるだ、しき血…凍道絶対零度の盾『エスクードデルセロアブソルート』」




嗚呼、もう身体が冷え切って意識が…




「あれ?ある…?え?雨は?!」


「少年!無事か?!」


「え?スティーブンさん??」


「とりあえず常に氷にしてるから、雨を何とかしてくれ!」


「氷?…氷!!」


「少年!!早くー!!」


「いや、でも傘!;;」


「折れたやつ触れるのも駄目なのか?!」


「折れたやつ…あ、止んだ」


「…流石に疲れた;;」




ミシェーラ、どうやら兄ちゃんにも運命の出会いが合ったみたいです。




「スティーブンさん!」


「何だい?」


「戦闘中、水の供給するんで俺と結婚してください!」


「喜んで!!よっしゃ!戦闘力と嫁ゲット!!」




ツッコミ?そんなの居ませんけど?




終わり。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ