‡宝‡

□手を出さないで
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ここ最近、二人の人物が一人を取り合っている光景を目にすることが多い。


丹波と石神だ。二人が取り合っているのは堀田。本人にしたらいい迷惑だ。


最初こそオロオロしていた堀田だが最近は扱いにもなれてきたのか、放置。




【手を出さないで】




今日も今日とてETUのロッカールームで熱い戦いの火蓋が切られようとしていた。



「堀田くーん、今日もいい体してんな。そろそろケツ出そうぜー。」



セクハラ全開の石神さん。



「堀田、ガミのことなんか聞き流して、俺とベッドの上でイイコトしたがいいって!」



何がいいのか分かりません、丹波さん。

二人に言い寄られて眉を下げると困り顔をした堀田。しかし、二人にはその顔もまたたまらずに左右両側からサンドイッチされるような形で抱きしめられてしまいました。



「ちょっ、ガミ!お前半分以上触ってんだろ!?俺に譲れ!」


「タンさんこそ、もうちょっと離れろって!堀田が汚れるじゃん。」


「何だと、お前〜!」



堀田を挟んでギャーギャー言い合う二人。そんな二人に呆れてしまって溜息を漏らした堀田は、誰が助けて…と言わんばかりに周りを見たが、こんなときに助けてくれる村越は達海に呼ばれて不在。ドリさんは世良と病院にいって不在。頼みの綱である堺はマッサージに行っている。

今、このロッカールームにいるのは堀田、石神、丹波、椿、赤崎、ジーノなのだが、ジーノは赤崎を口説くのに忙しいらしい。椿に助けを求めても、チキンな彼には無理だろうと判断した。

こうなれば、自分でどうにかするしかない…と思っていたところに、背後から手が伸びてきて引き寄せられた。えっ?と三人が視線をやった先には椿。



「…堀田さんは俺の恋人なんで、手を出さないでくれますか?」



ギュッと堀田のことを抱きしめて黒いオーラを漂わせながらも男前の表情を浮かべる椿。ピッチでしか見せないときの顔に、堀田は思わず胸キュン。そんな椿の言動に口ポカンの石神と丹波。

そんな二人は放っておこうと思った椿は堀田の荷物と自分の荷物を持ち、堀田の手を握り締めて引っ張るようにしてロッカールームから出て行った。

そして、ジーノが一言。



「今まで気づかなかったのかい?憐れだね。」



と言って、赤崎と共にロッカールームから出て行き、ポツンと取り残された石神と丹波は互いを慰めあうために居酒屋でも行こうと肩を叩き合った。


そして、廊下を歩きながら椿が口を開いた。



「堀田さんは、あの二人に甘すぎます。」


「あ、あぁ…?」


「俺、…嫌だったっス…。堀田さんは俺の恋人…なのに…。」



さっきまでの男前の椿はどこへ行ったのか、いつものしおらしい椿に戻ってしまっていた。そんな椿を見ると堀田さんは苦笑いを浮かべて頭を撫で、椿の持っていた自分の荷物を受け取り笑みを浮かべた。



「次からはちゃんと言うから、心配するな。」


「…ウス。」


「今日もうち来るか?」


「は、はいっ!あのっ、今日はゴムつけるんで!」



椿の発言に、思わず苦笑いを浮かべた堀田だった。




END




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