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□緋色の秘薬
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それは、いつもと同じ日常になるはずでした…
緋色の秘薬
「失礼します。阿近さんいますか?」
「あ〜阿近さんなら、今手が離せないらしいんですよ。」
「そうですか…じゃぁまた後で・・・」
「でも、後1時間ほどしたら出てくると思うし、暇だったら中で待ちません?」
「…あーそうっすね、待たせてもらいます。」
「どーぞどーぞw」
「お邪魔します。」
眼鏡をかけた、技術開発局の職員に勧められ、俺は局内で阿近さんを待たせてもらうことにした。
―スッ
「へ?…あの、これ…俺に?」
「(コクコク)」
「あっありがとうございます」
あまり見たことのない職員に貰った、チョコレート…技術開発局で出たものだから、ただのチョコレートであるはずはないと思ったのに。
見た目の普通さと副隊長に毒を盛るはずがないという考えから、迂闊にも俺はこれを口にしてしまった…
「甘い…」
チョコレートなのだから当たり前か、と思いつつも何の変化もない己の身体に、安堵と少し残念な気持ちを持ちながら、阿近さんを待つことにした。
「あっ!阿近さん」
「…なんだ、来てたのか」
「人がわざわざ待ってたのにそんな、素っ気な…(ドクンッ)」
「…どうした?」
「(ドサッ)………っぁ……ぃ」
「おい、大丈夫か」
「…はっ……あっぃ………」
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――――――
―――
そこで、おれの意識は遠のいてしまった…
「……んっ」
「やっと気が付きやがった」
「………ぇっ…あこ…え?……どぅ…えぇ??」
「落ち着け」
目を覚ますと阿近さんの顔がすごく近くにあって、軽くパニックになりそうだった俺に、阿近さんが何が起こったかを説明してくれた。
「…お前が食ったチョコレートに薬が仕込んであってな…
その薬っていうのが、身体だけ子供に戻すっていうもんなんだよ。」
阿近さんから告げられた内容に、驚いてる自分と、そういえば心なしか声が高いような気がする…と冷静に分析してる自分がいた。
「……もしかして、俺ずっとこのまま戻れないの!?」
「安心しろ、解毒薬作ってやる。」
「よかった〜」
阿近さんの言葉に安心して余裕ができたせいか、俺は自分の身体を見渡してみていた。
「やっぱり、身長とか違うから服ダボダボだ…」
当たり前だが目線が低かったり、手の大きさが小さくなっていたりと、大人の自分とは結構違うもんなんだなぁ〜と一人で納得してしまった。
「にしてもあれほど、妙なもん口にすんなって言っただろうが…」
「…だって見た目普通だったし……」
言い訳する俺に耳元で、
「お前がそんなナリじゃヤレねぇじゃねぇか(ニヤリ)」
「…なっ……/////(パクパク)」
「くくっ…俺は隣で薬作ってるから、何かあったら呼べ。」
放心してる俺を放置したまま、研究室に行ってしまった阿近さんの後姿を見ながら、俺はこの人に敵わないんだなぁ…と一人ごちた。
おまけ
阿「別に2・3日このままでもいいじゃねぇか」
修「いやですよ!」
阿「…そうだな、キスだけじゃもの足りねぇか(ニヤリ)」
修「…///」
俺は戻るまでの数日間こうして阿近さんにからかわれるのであった…