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□君への…
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屋上で煙草を吸おうとしていた。
と言うのも、病院内は禁煙で。
喫煙コーナーも確かに有るが、俺はあの見せ物パンダみたいなガラスケースがどうも気に食わない
『俺は見せ物じゃねぇんだよ…』
だいたい、我慢してガラスケースに入ったところで、患者やその親類に、医者なのに吸うのかという視線が飛んでくる…。
だから、俺は喫煙コーナーで煙草を吸わない。
いい場所を見つけたのは大分、前。
ふと、屋上で吸ってはどうかと思った。
俺が屋上の鍵を借りるのは、とても容易い事。
だが、流石に何度も借りるのは怪しまれるので、合い鍵を作った。
昔から、どうも悪知恵だけは働くらしい。
今日も愛用の合い鍵で、屋上へ。
すぐに煙草に火を付けようとして、止めた。
正確には止めざる終えなかった…。
物凄い足音が近いて来たからだ。
『油断したな…』
誰も来ないと思っていたから、鍵を閉めていない
『病院関係者じゃねえな…。』
走るし、屋上に来るから
それはいつも、関係者が屋上に鍵が掛かっていると知っているから。
『誰だよ…俺の至福の時を邪魔しやがって』
仕方なく隠れた。
バレたらメンドクサそうだったからだ。
『今日は、厄日だな』