2
□大きな本
2ページ/6ページ
体長20pの鵯州を抱えて俺は本屋へ向かっていた。
程なくして着いた、近所の書店。
幸いにもまだやっているようで灯りが付いていた。
中に入ると、本特有の古いような新しいような、匂いがする。
中の主人に見つからないように鵯州に小声で話し掛けた。
「ねぇ、どんな本が良いの?」
「うーん…アイツは相当な量の本を持ってやがるからな…」
「…じゃあ、持ってなさそうなの教えてよ」
鵯州はわかったと返事をしたものの、一向にコレと言うものが見つからない。
「鵯州?」
「…どれもコレも持ってやがるんだよ!」
一体、鵯州の主人はどれだけの本を持っているのか…、
手当たり次第に取ってみて鵯州に渡しても持ってると答えられる。
俺は何か良い物はないかと記憶を探ってみた。
「そうだ!アレなら持ってないかも!」
鵯州を抱えたまま店の奥へと突き進む。
その本は俺が物心付く頃からその場所に有ったものだった。
「まだ有った…」
店主曰わく、分厚すぎる上に値段が張るため売れないのだと言っていた。
辞典のように分厚い小説。
10p弱は有るだろうか?