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□紅い華の夢
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「それに、感覚だけでもそこに居たのなら、きっと闇の先で待ってたんじゃないのかな…?」
貴方が早く帰ってこれるように闇の先で、
寂しい、暗い、
闇の街。
灯りは消えて、好きな人は消えて、
唯、独り。
「…闇の先で独りなのはその人も一緒なんじゃないですか?」
「……、」
涙が零れた。
泣いたなんて何年ぶりだろう?
(…否、百年近く泣いてないな)
涙なんて煩わしいだけだと思って居たけど、不思議と今日の涙は不快じゃない。
(…綺麗)
なんて綺麗な涙だろう?
とても涙が似合うような神じゃないけど、綺麗な涙だった。
夢とは不思議で恐ろしいものだ。
『予知夢』なんて言葉が有るように現実なることだって、先見ることだって出来るモノ。
だから、リアルで怖い。
現実になったらどうしようなんて考えて夜も寝られない。
でも、少しの考え方で幸せに変えることも出来るんだ。
(阿近さんの夢の中の人が羨ましい…)
こんな綺麗な涙を出させるその人が、
彼がその孤独の夢を怖くなるくらい好きな人が、
羨ましかった…。
(…俺、夢の中の人に…嫉妬してる、)
誰かも分からないその人に唯、嫉妬した。