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□言葉のカタチ
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いつもの昼休み、俺が向かうところもやっぱり、変わらなくて。
『…今日は弁当も作ってきたし。』
なんて、思いながら戸に手を掛けた。
「阿近さん?」
「………」
呼び掛けても、反応なし
『…久しぶりにコレは…聞こえてないタイプだ』
仕事の集中度合いで阿近さんは外部を遮断する。
最近は、あまり此処まで集中してることは無かったのだが、どうやら今日は違うらしい。
現に何度呼び掛けても、やはり反応はない。
『…まだ時間は有るし、我慢するか…』
本当は構って欲しいけど素直に言えない。
いつからか、素直に言えなくなった。
貴方にとって、重荷にも面倒臭い存在にもなりたくないから、言わない。
刻一刻と時間が過ぎていく。
段々過ぎていく時間を見て、我慢が出来なくなっていった。
寂しい、心細い。
貴方の腕が、心が欲しいのに、目の前には遠い背中。
頭の中で何かが切れた音がした。
「阿近さ…」
「修兵…?」
貴方は俺に気付いてくれた。
嬉しい、嬉しいのにこの頬を伝う涙は何なのだろう?
阿近さんが俺の涙を見て驚いたような声を上げる
「修兵どした…!?」
鍵が壊れてゆく。
不安が限界に近付いていたことを今更知った。
「…俺、阿近さんにとって重いよね…?」