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□短編集
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どこかで物語はつながってる、
違うどこかで違うけど
同じ自分が生きている。
「…はぁ、」
「疲れてんな、修兵」
「阿近さん、仕事は?」
「今日は午前だけだって言っただろうが」
「そうでしたっけ?…そうだったかも?」
修兵は相当疲れているらしく、俺が予め伝えておいたスケジュールすら曖昧だ。
「そんなに絵本上手く行ってないのか?」
「いえ、制作は順調なんですけど…多忙で」
付き合ってからあれから何年経っただろう、俺達は未だに医者と絵本作家の仕事を続けている。
「…恋人が人気者ってのは辛いもんがあるな」
「阿近さんが其れ言いますか?」
2人の事を言い合うのももう日常の風景だ。
「で、今回の内容は?」
「今回は…っていい加減担当でもないのに内容を誰よりも知るの止めて下さいよ」
「良いんだよ、俺が一番お前もお前の絵本も愛してんだから」
修兵は狡いと言って紅くなった。
「で、内容」
「今回はたまごと旅人について書きながら違うけど同じ2人の話を」
「パラレルワールドみたいなか?」
「はい」
今回も夢が重要な鍵になってくるんですよと修兵は笑った。
本当にお前は夢が好きだなって俺も笑った。
部屋には2人だけの笑い声が響いていた。