ロックマンエグゼ
□小さな粒の中に
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暗い、クライよ、俺は今何してる?
自分の居場所が分からなくなっていたら、目の前の扉が急に開いた。
予想外の出来事に扉を凝視していると、その原因が喋る。
「…熱斗?」
「炎…山、」
「どうした、そんな所で?…熱斗?具合でも悪いのか?」
ただ、違うよと首を振るけど声が何故か出なくて、泣きたくなるのに涙は出なくて。
でも、心配する炎山の声がどこまでも優しく、甘くて。
「熱斗…?」
「炎山…!」
やっと出たのは彼の名前だけで、まるで助けを求めるように炎山に抱き付いた。
微かに息を呑んで、ふらつきながらも炎山はしっかり抱き留めてくれて、それがもっと嬉しくて泣きたくなった。
涙なんて出ないのに炎山の胸に顔を埋めて、もっと隙間を埋めれば炎山は優しく俺の背に腕を回してくれた。
「エレベーターで酔ったか?…やはりもう少し照明を明るくした方がいいな」
あの微妙な暗さは気が滅入っていけないと彼は小さく笑って、抱き締めを強くした。
「早く、速く…ハヤクって」
「あぁ、」
「ロックマンに注意されても…ゆっくりなんて、出来なくて」
「そんなに俺に逢いたかったのか?」
「…うん」
「そ、そうか//」
珍しく素直に答える俺に炎山が少し動揺したことに気づく余裕すら今の俺には無くて。
でも、俺はそれでも良いかと思うくらい炎山の腕の中で安心していた。
愛しい、愛しいヒトよ。
早く、速く俺を抱き締めてよ
この物足りなさを埋めるように
強く、熱く抱き締めてよ。