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□晴れの雨
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珍しく、仕事もなく
久しぶりの非番だった。
自室から見える晴れの雨を見ながら一服でもと思ったのは、ただの気まぐれだった。
自作の他人にしたらキツすぎる煙草に火を付ける
一口吸って、庭を見渡して疑問一つ。
『…何だ、ありゃ?』
黒猫か?カラスか?
ゴミか?どれにしても
自室の庭には、あの様な黒い物体は無かったはずだ。
庭木の間から微かに見える黒に近づく。
近付いて初めて死神だと気付いた。
どうして、タオルを持ってこようと思ったのか、気絶していたから?
震えていたから?
『そんな事、分かるか』
タオルを掴んで、再び近付いた時には、気絶していた物体は、目を覚ましていた…。
黒髪が濡れたことで光っていた。
『…綺麗だな、黒猫って感じか?』
雨に濡れて、震えているそいつに掴んで来たタオルを被せた。
「…拾ってやろうか?」
タオルと声に人が居ることを初めて知ったのだろう。ゆっくりと此方に、顔を向けた…。些か、
驚いた顔をして。