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□秋ですもんね!
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俺は、秋はわりと好きだ
暑くないし、過ごしやすいからだ。
だが、こればかりは、
秋と言うことを恨む。
ご存知かは知らないが、局長、涅マユリは、
『秋刀魚』が大好物だ。
それなら、なんら問題は無い。人の好き嫌いをとやかく言う気はない。
だが、問題は別にある。
そう、それは数分前の出来事。
局長が俺の所に来たことから話は始まる。
「阿近は、居るかネ?」
「此処に居ますが、何か用ですか?」
「実はね、現世で秋刀魚を買ったのだヨ。」
「…え;」
「いつものように、出来たら呼んでくれたまえヨ
いいネ?」
「…はい;」
とうとう、この日がやってきてしまった。
秋になると局長は、現世に赴き秋刀魚を買ってくる。
それをあろう事か、俺に焼かせるのだ。
食堂で焼けばいいものを局長は、自分の監視下にないものは、食べたくないと言う。
そんなもんお前ぐらいしか弄らねぇよ!
だが、これも局長命令、どんなに職権乱用だと思っても逆らうことは出来ない。
ったく、最悪だ。
メンドくせぇ…。
しかも、この日用に昔作った特製しちりんは、丁度、昨日物置の雪崩崩れで壊れた。
本当にメンドくせぇ…。俺は、魚捌いたりするの嫌いなんだよ。
本当にメンドくせぇ。