小説(1冊目)

□フレンズ
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 奇天烈な小児科医が写真を見せてくれたんだ。
「きみは将来こんな子とお友達になるよー」
「可愛い子だね。女の子?」
「さぁ、どうだろう?」
 エプロンドレスを着たすごく可愛い子で、頭に付けたパウダーブルーのリボンがとてもよく似合ってた。
 もしかしたら一目惚れだったのかもしれないね。
 しばらくの間写真から目が離せなかった。



 中学生になって初めて渋谷を見た時、写真の子に似てるなって思った。
 勿論その時は同一人物だなんて思わなかったけど。
 でもこれだけは判った。
 この人は魔王になる人だって。
 魂で感じてた。



 渋谷は僕の前世と深く関わりのある人だけど、だからってこんな風に友達になれるなんて考えてもみなかった。
 実際中学で同じクラスだった時もほとんど話す機会なかったしね。
 だから不良に脅されていたのを助けてくれた時、そして本当に友達になれた時、すごく嬉しかった。



 ねえ、渋谷。

 きみが眞魔国の魔王として、そして僕が双黒の大賢者と呼ばれた者として生まれたのは確かに運命だったけど。
 でも僕達が友達になれたのは運命なんかじゃない。
 きみが渋谷有利で、僕が村田健だったからだ。



 だから感謝しよう。
 きみがきみとして生まれてくれた事に。

 きみという存在を創ってくれた全ての人に。



end
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