小説(2冊目)
□闇の光明
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何も見えない。
その事実はおれを更なる絶望の淵へと叩き落した。
でも、実際にはうっすらと影が見えるし、太陽の位置もちゃんと判る。
何よりアンタが何を考えて、どんな顔をしているのかが手に取るように判るんだ。
おれにはそれが堪らなく嬉しい。まるで昔に戻れたみたいで。
……もう、本当に遥か昔の事みたいだ。
この国を出てしまえばまた、おれ達は敵同士に戻るんだろう。
それでも、今のアンタは信じられる。
おれを抱き締めてくれたその腕なら信じられる。
今のおれ達はチームメイトだ。
そう、信じて……いいんだよな?
コンラッド……。
end