小説(3冊目)

□Darkness
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 真っ暗だ。



 周りを見渡しても黒一色で、それ以外何も見えない。聞こえない。
 でも、腕の中に渋谷の体温を感じる。
 渋谷の鼓動を感じる。
 それだけが、僕の全て。



 腕の中に納まっている身体を抱き締める。
 境目なんか判らない程に、1つになりたくて。
 冷え切った僕の身体に温かさが沁み込んでくる。
 嬉しくて、涙が溢れてしまいそう。



 渋谷、渋谷。
 ただ、名前を呼ぶ。
 腕の中の愛しい存在に、ただ語り掛ける。
 言葉は返ってはこないけれど、温かく僕を包み込んでくれる。



 何もないこの世界。
 きみだけが、僕の全て。



end
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