Short小説
□独占物。
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「ほら翡翠、よく見てなさい」
「や…」
ベッドの端で翡翠の背中を抱き締める様な形で僕はペットを苛めていた。
足をM字開脚にさせ、片足ずつベッドの端へと鎖で繋いでいた。
そして、前には全身鏡。
そう、全てが丸見え。
何故こうなったかと言うと、それは2時間前に遡る。
―…
2時間前。
「翡翠、おいで」
後ろから抱き締める手を緩め、翡翠に呼び掛ける。
小さく見上げては、体制を変え首もとに手を回し、抱き付いてきた。
全く、可愛いね…
僕はその柔らかい髪を撫で、口をゆっくり開いた。
「明後日から僕は仕事で4日留守にするから」
ピクリと反応があった、と思えばより一層引っ付きたがる翡翠。
「留守…居なくなっちゃうの…?」
「居なくなったりはしませんよ。
ちゃんと帰ってきますから」
「うん…」
寂しい。
と言わんばかりに落ち込む。
翡翠、僕だって君と離れたくない。
1日だって、1時間だって嫌なんですよ…?
僕は身体を離し、その小さな唇にキスを落とした。