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□別れの挨拶は“またね”
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「あっ、日本!こんな夜更けにどうしたあるか?」
中国が叩かれた扉を開けると、そこには弟分である日本がいた。
「御免。」
「ちょうど今、粽作ったあるあがるとよろし。」
中国は日本の来訪がとても嬉しかったのか、日本の小さく言った言葉を聞き逃し、にこにこ笑顔で日本を迎え入れようとした。
しかし、日本は家の中へ入ろうとはせずに戸口に立ったままだった。
一瞬だけ日本は悲しげな表情を顔に浮かべる。
だが、すぐに無表情になり、腰に下げていた刀を握った。
「え?」
中国はきょとんとした目で日本を見る。
「なんでそんな物騒なもの持ってるあるか?危ないあ・・・。」
中国はお兄さんらしく日本に注意しようとしたが、日本が刀をこちらに向けてきた事で、言葉を止めた。
「な・・・なんでこっち向けるあるか!」
中国は慌てて日本を制する。しかし、日本は問答無用と言わんばかりに刀を抜いた。
「日本!やめるあるよ!」
そして、中国は切りつけられた。
「ぎゃあああ!」
中国は咄嗟に切り口を押さえる。浅く、出血量も少ないが痛い。
「日本!何するあるか!」
中国は涙目で日本に叫ぶ。
「・・・“さよなら”です。中国さん。」
日本は静かにそう言い放った。
「さよなら、あるか?」
中国はさらに訳が分からないというような顔をする。
「えぇ、もう日本語が分からないほど耄碌(もうろく)してしまったのですか?」
日本はにやりと嗜虐的に笑った。しかし、それはぎこちない笑み。
「忘れるわけないである!」
中国はそんな笑顔、見たくないと首を横に振る。
「弟が作った言葉を忘れるわけないある!」
「・・・そうですか。」
日本が一瞬寂しげな顔をした。だが、それはすぐに無表情へと戻る。
「ツァイチェン・・・あるな?」
中国での別れの挨拶。
「・・・はい。」
日本は静かに頷いた。
「・・・“さよなら”あるなら、別れの挨拶を我の言葉でも言ってほしいあるよ。」
戦いの気配に中国は諦め、そう日本に頼んだ。
「・・・分かりました。」
そう言うと、日本は再び刀を中国に向けた。
「ツァイチェン、中国さん。」