その他CP

□キスがしたい
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そわそわ



なぜか先程から隣にいる彼の落ち着きがない。
こちらをチラチラと見てきては、何かを躊躇しては、止める。
せっかく紅茶を飲みながら、穏やかな読書の時間を過ごしていると言うのに、いったい何だと言うのだ。

「・・・上条当麻。」
「はっ、はい!」

静かに呼びかけると、あまりにも大袈裟な返事が返って来て、ステイルは思わずため息をついた。
そのため息に何を勘違いしたのか、当麻はビクリとし、焦った様子を見せる。

「え、あ、上条さん、また気付かないうちに何かをやらかしたでせうか・・・?」
「何をそんなに、そわそわしているんだい?」

呆れたステイルの問い掛けに、当麻は、今度はギクリと肩を震わせた。

「あー、そのー、えーと・・・・。」

明らかに言い訳を考えてますと、当麻の目が泳ぐ。
しかし、ステイルの不機嫌なオーラを感じ取ったのか、諦めた様に、何か覚悟を決めた様に、姿勢を正した。

「ステイルさん。」
「うん?」
「キスをしていいでしょうか?」

その言葉にステイルは硬直し、数瞬後、顔を真っ赤にして怒鳴った。

「そう言う事は聞くな!!」
「いや!読書に集中している所を邪魔しても怒るだろ!」

当麻はいつでも炎剣が来てもいいようにか、右手を盾にして言い返す。

「君が気になって読書に集中なんて、」

言いかけて、しまった、と口を紡ぐ。
しかし、当麻はポカンとした後、すぐに何もかもを理解したかのような満面の笑みを浮かべた。

「うん、そっか、そっか。」
「うるさい。」
「へ〜。」
「もう黙れ!!」

当麻のニマニマ笑顔がムカついて、ステイルは彼を黙らせるため、噛みつく様なキスをした。
目を見開いた当麻に、ステイルは赤い顔のまま、ポツリと呟いた。

「・・・したかったんだろう?」

結局自分は当麻を笑顔にさせてしまう様だ。
今回はとても幸せそうな笑顔だが。

「ステイル、もう一回!」
「もうしないに決まっ、」

素直じゃない言葉は、彼の口の中に消えた。
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