その他CP

□キスがしたい
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気になる唇




視線を感じた。
三成は隣を向き、不機嫌そうに尋ねた。

「何だ。」
「え、あ、いや、三成の、そう、唇は薄いな!」

家康は妙に慌てた様子で、そう、訳の分からない事を言った。

「・・・は?」
「あ、いや、何でもないんだ!何でも!」

家康は誤魔化す様に無駄にでかい声で笑うと、自分の槍をせっせと磨き始めた。
三成も首を傾げながらも、刀の手入れへと戻る。
だが、少し経つと再び視線を感じた。
三成は手を止め、尋ねる。

「今度は何だ。」
「え、いや・・・その・・・。」
「そんなに私の唇はおかしいか?」

三成は思わず人差し指で、自分の唇に触れる。

「いや!おかしくない!!」

予想外に力強く否定され、三成は驚きで、目を見開く。

「そ、そうか・・・では、なぜ私の唇を見るんだ?」

再三尋ねると、家康はあー、など、うー、など唸り、なかなか答えを出さない。
そんな彼を見つめていると、ふと思いついた。
自分も家康の唇を見つめれば、分かるのではないかと。
早速、三成は家康の唇をジッと見る。
視線を感じたのか、家康は唸る事を止め、首を傾げた。
そして、三成の視線の先に気付くと、そわそわと落ち着かない様子で、身じろいだ。
三成はそんな家康の事など気にせずに、ジッと見る。
不意にある衝動を感じた。
感じたままに三成は、家康へと近付き、驚く彼を余所に口づけをした。

「・・・ふむ、不思議だな。お前の唇を見ていると、接吻をしたくなった。」

1人納得していた三成だが、家康が静かなのを不思議に思い、彼を見た。
家康は、顔を片手で覆い、三成から顔を逸らしていた。
しかし、真っ赤な耳までは隠し切れていたなかった。

「顔が赤いぞ、家康。風邪でも引いたか。」
「・・・うん、そうかもしれん。」
「では、さっさと部屋に戻って寝ろ。」
「そうだな、しかし・・・。」

家康は照れたように笑うと、三成に顔を近付けた。

「もう一度だけ、口づけをしていいか?」
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