その他CP

□キスがしたい
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ただのガムされどガム




滝壺の唇がふと目に留まった。
今日の昼食を思いだす。
ペペロンチーノだった。
ちょっと口臭が気になる食べ物。
コンビニが目に入ったので、皆を振り返った。

「俺、ちょっと欲しい物があるから、寄っていいか?」
「にゃあ?浜面、大体何を買うんだ?」

フレメアが無邪気に尋ねてくる。

「ん?ガムが欲しいなーって思ってよ。」

それに素直に答えた途端、罵倒が浴びせられた。

「浜面、超キモイです。」
「うん、それはキモイわ。」
「ちょっと、絹旗に麦野!?何なんだよ!何でガムが欲しいって言っただけで、罵倒されなきゃいけないんだよ!」

突然、しかも、身に覚えのない悪口に浜面はちょっと泣きそうになりながら、叫ぶように尋ねる。

「いやー、こんな往来で超何を考えているんですかね〜?」
「しかもお子ちゃまがいる前でね。」
「いやいや、お前達の方が何を考えてるんだよ!俺普段からガム噛んでるよね!フーセンガムとか、ハイチューとかワルの必需品でしょ!」
「うわー、その考え方は超古いです。」
「何よ、その80年代ヤンキーな思考は。」
「おいこら、2人とも俺の昔の仲間に謝れや!」
「あー、だから、浜面は超馬鹿なんですね。」
「そんな奴らの中にいたら、そりゃ馬鹿が移るわね。」

所詮浜面は無能力で、彼女達は大能力と超能力だ。
口喧嘩で勝てるわけがない。
ガクリと項垂れる浜面の肩に手が置かれる。

「そんな浜面を私は応援してる。」
「うん、俺の味方は滝壺1人だぜ。」

後ろで、にゃあ、大体私も浜面の味方だ!と言っているフレメアがいるが、不意に近付く滝壺の唇に、浜面はそれどころではなかった。
聞こえた三文字に浜面の顔が赤く染まった。
滝壺はニコリと微笑むとコンビニへと走って行ってしまった。
思わず浜面は頬を緩ませた。

「浜面、超キモイです、顔が。」
「マジでキモイよ、顔。」
「悪かったなぁ!キモイ顔で!!」

学園都市のとある路地で、泣きそうなヤケクソな怒鳴り声が響いた。



(あ・と・で)
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