とある魔術の禁書目録CP
□君に会いたい on Christmas Day
2ページ/3ページ
ステイルの乗っている便とはまったく違うかもしれない。
なのに、当麻の身体は動き出していた。
バスに乗り、地下鉄に乗り、空港を目指す。
乗っている間、何回もステイルに電話をかけたが、電源を切っているか圏外だと、無機質な声しか聞こえなかった。
それに不安が募っていく。
ステイルは無事だろうか。
怪我をしていないだろうか。
まさか――――。
最悪な結果が頭に浮かんでは、慌てて打ち消す事の繰り返しだった。
「ステイル・・・・。」
小さな呟きに誰も答えてくれなかった。
早く、会いたい。
君の声を聞きたい。
君に触りたい。
「ステイル・・・。」
当麻は唯一彼と繋がるだろう携帯を握りしめる。
そして、電車は空港へと着いた。
飛び出して、到着ロビーへと走る。
そこには数台のカメラがあり、記者がカメラに向かって――――――笑っていた。
「今、不時着した飛行機に乗っていた乗客が出てきました。幸いにして、負傷者はおらず―――――」
記者の言葉を聞いたと同時に、当麻は見つけた。
赤い髪で、背の高い彼を。
「〜〜〜っ、ステイル!!」
当麻は流れ落ちそうになる涙を我慢して、ステイルへと呼びかける。
ステイルも気付いたようで、手を振ってくれた。
「なんだい、来たのか。迎えはいらないと・・・。」
あまりにも普通なステイルに当麻は思わず脱力した。
「お前なー、来るに決まってるだろ!」
当麻は記者を指さし、さらに言い募る。
「恋人の飛行機がエンジントラブル起こしたとか、心配になって来るに決まってるだろ!」
その言葉に、ステイルはバツの悪そうな、それでいて照れたような顔をした。
「・・・とりあえず、怪我はないんだな。」
当麻の問いに、ステイルは頷く。
「ないよ。」
「じゃあ・・・よかった。」
当麻はホッと息をつく。
「・・・当麻、その・・・心配してくれて、ありがとう・・・。」
すると、ステイルが真っ赤な顔をして、そう言ってくれた。
「当たり前だろ。」
当麻は笑い、ステイルの手を握った。
「そうだ、ステイル。」
言い忘れていたと、当麻はステイルの顔を見て、伝えた。
「メリークリスマス。」
「・・・Merry Christmas.」
ステイルは顔を赤らめて、小さく微笑んだ。