とある魔術の禁書目録CP

□Version Alpha side ステイル   移ろいに取り残される世界
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画面の中で見るよりも、実際の光景は遥かに酷かった。

(バードウェイを追いかけていた時に来た東京と同じとは信じられないな・・・。)

建物は崩れ、至る所に遺体が横たわっていた。
道路標識は煤け、かろうじて渋谷という文字が判読できた。

(上条当麻は、どこにいる・・・?)

こんな酷い場所で、彼はまだ生きているのだろうか。
嫌な考えが頭を過ぎる。

「―――・・・・!!」

その時、爆音に混じって微かに人の声が聞こえてきた。
当麻の居場所のヒントも何もない中の闇雲の捜索だ。
可能性がある場所は虱潰しに探す必要がある。
ステイルは声が聞こえた方に駆け出した。
足音は全て爆音がかき消してくれる。
声の主はステイルの接近には気付くこともないだろう。
そして、崩れかけたビルの角から、そこを覗き込む。
駅前の広場のようだった。
そこに2人の男女が対峙していた。一人は――――。

(上条当麻!?)

生きていた。しかし、彼の脇腹からは遠目でも分かるほどの血が流れ、地面へと水溜まりを作っていた。
当麻に対峙する少女は、大覇星祭の時にチラリとだが見た覚えがあった。

(学園都市の人間か・・・。)

あの上条当麻の事だ。
彼のせいで学園都市が攻撃されたなどとは知らずに、知り合いを助けようとして、仇討ちか、復讐か、されかけているのだろう。
少女が振り上げる鈍器を見て、ステイルは静かに懐からルーンを取り出した。
その直後の出来事だった。
瓦礫に埋もれていた液晶テレビが、なぜか映った。

『海上からの巡航ミサイル空爆は、第二波、第三波と断続的に繰り返されております。』

ステイルは情報の正誤など考えずに、ビルの陰から飛び出した。

『着弾は・・・今!!』

女性アナウンサーの声と共に、光と轟音が全てを埋め尽くす。
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