とある魔術の禁書目録CP
□口実
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面白くない。
当麻ははっきりそう思った。
ステイルとの会話は当麻にとってはとても楽しい。冷たくあしらわれたり、喧嘩したり・・・それでも、ステイルが自分に向けて会話をしてくれる事が嬉しかった。
では、ステイルはどう思ってる?
土御門と頻繁に話すという事は、土御門との会話をステイルは面白く思っているのだろう。
当麻との会話は?
(楽しいわけ、ないっか・・・。)
ただの当麻の片思い。
土御門に嫉妬するなんて・・・。
(情けねぇ〜。)
当麻は視線を落とす。あれ程美味しかった焼きそばパンが美味しそうに見えない。
『上条当麻。』
突如、耳元でステイルの声がして、当麻は跳び上がった。
その方を見ると、土御門が自分の携帯を当麻の耳に当てていた。
『で、僕に何の用だい?』
ステイルが不機嫌そうに尋ねる。
「え・・・あ・・・、そっちは平和か?」
当麻は土御門から携帯を受け取り、しどろもどろに答える。
『まったくもって平和じゃないね。だが、学園都市には飛火してない。』
ステイルのため息を聞こえた。それには疲労が滲み出ていた。
「ステイルは大丈夫なのか?」
『ん?』
「ステイルは怪我とかしてないよな?」
当麻の心配が多分に入った声にステイルは沈黙してしまった。
「・・・ステイル?」
『大丈夫だ。』
ステイルはきっぱりと答えた。
『それにしても、なぜこんな些細な事で電話してくるんだい?まるで口実のようだね。』
ステイルが呆れた調子で言う。
「・・・あ・・・え・・・と・・・。」
みるみると当麻の顔が赤くなっていく。電話で良かった、と当麻は強く思った。
でないと、こんな情けない顔をステイルに見られるところだった。
『まぁ、そんな事はどうでもいいな。』
ステイルが本当に動でも良さそうに言う。軽く落ち込む当麻。
『しかし、君に定期報告をするのは良いかもしれない。土御門に僕の番号を訊いてくれ。』
「・・・・・・。」
当麻は驚きすぎて何も言えなかった。
『君も何かあれば連絡したまえ。』
そう言って、ステイルは電話を切った。当麻の耳に残ったのは、ツーツーという音のみ。
「・・・なぁ、土御門。」
当麻は携帯を返しながら尋ねる。
「報告なんてお前にすれば良いよな?」
「まぁ、良いんじゃないかにゃ〜。」
土御門は、ほら、とステイルの番号(+メルアド)を携帯に表示させた。
それを当麻は必死で自分のものに入力する。(赤外線ですれば良いのに・・。)
「・・・あ、そういえば、さっきの俺に掛かってきた電話、ステイルじゃなくて神裂のねぇーちゃんだったにゃ〜。」
「・・・・・・。」
その言葉に固まる当麻。
「・・・この、土御門ーー!!!」