とある魔術の禁書目録CP

□愛しの貴方への恋文を
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「・・・・・好きだ。」





唐突の言葉にステイルはびくりと肩を震わせる。


「たぶん、あいつはそう言いたかったんだよ。」


当麻がテレビ画面に移る男を指差して言う。
映画の話だと分かっていても、ドキリとしてしまった。
自分でも驚くほど、主人公に感情移入してしまっていたようだ。
当麻の言うタイミングも悪い。


「では、あの男はなぜ、悲しそうな顔をしていたんだい?」


これは、映画に対する質問だ。
ステイルは自分に言い聞かせる。


「言っても、叶わないと思ったからじゃねーか?言ってしまって、相手の重みにしたくねーからとか。」


優しい当麻らしい答え。自分の気持ちより、相手の気持ちを優先する。


「・・・・しかし、言ってみないと分からないじゃないか。」


叶うかもしれないのに。


「・・・・・好きだ。」


当麻が再度繰り返した。


「・・・・・・・・・・・・え・・・・・・?」


話の流れから外れた唐突の言葉。ステイルは良く分からず聞き返した。


「言ってみたんだよ!」


当麻が顔を赤くする。


「固まってないで答えろよ。俺の気持ちは叶うのか、叶わないのか。」


ステイルは当麻の言っている意味がようやく分かった。


「・・・・・叶う・・・・・。」


ステイルは俯き、小さく呟いた。


「・・・・いや、ここは“俺も好きだ”とかいう場面じゃねーのか?」


当麻が呆れた声で言う。


「ッ〜〜〜〜君なんて嫌いだ!」


どうしても反対の事を言ってしまう。


「・・・じゃあ、好きって事だな。」


当麻がにやりと笑う。


「それにしても、この映画の主人公ってステイルそっくりだよな〜。」


何もかもを見透かされているようで、癇に触る。


「・・・・大丈夫だからな。俺はお前が思っているよりずっと近くにいる。」


不意に真面目な顔をして言う当麻。

そう、この言葉が・・・。


「遠くなんかにいかねーよ。」


そして、当麻は笑った。

そう、この笑顔が・・・。




僕の心を奪ったんだ。




→あとがき
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