とある魔術の禁書目録CP
□かくれんぼ
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近くの公園に2人はやってきた。
平日の昼間だからだろうか、公園には誰もおらず、がらんとしていた。
ただ、虫たちだけが自分の存在をアピールするかのように、大声で鳴いていた。
「じゃあ、じゃんけんをしよってミサカはミサカは片手を出しながら言う!」
打ち止めの言葉に、一方通行は嫌々ながらも片手を取り出す。
『じゃんけーん、ぽん。』
2人同時に言って、勝負。
結果、一方通行がグー。打ち止めがチョキだ。
「テメェーの負けだ。」
一方通行のニヤリ顔に打ち止めはむぅ、と膨れるが、それを無視して一方通行はすでに隠れる場所を探し始める。
負けた事には悔しいのだろうが、それ以上に一方通行が一緒に遊んでくれるという事実が嬉しいのか、打ち止めはにっこちと笑った。
そして、街頭にうつ伏せにするように目を隠し、数を数え始めた。
「1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−、もういいかーいってミサカはミサカはあなたに尋ねてみるー。」
「まだだぜェー。」
一方通行のやる気のない声が聞こえ、打ち止めは再び数え始める。
「1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−、もういいかーいってミサカはミサカはあなたに尋ねてみるー。」
「まだだぜェー。」
誰もいない公園に2人の声が響く。
2人だけのかくれんぼ。
しかし、打ち止めは楽しそうに数を数える。
「1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−、10−、もういいかーいってミサカはミサカはあなたに尋ねてみるー。」
「・・・・。」
一方通行は答えなかった。
それは隠れたという証拠。
声を出しては、隠れた場所が特定されてしまうから。
「よーし!ってミサカはミサカは気合いを入れてあなたを探し始めるー!」
打ち止めはワクワクと公園内を走り回る。
木の陰かな?
草むらの中かな?
遊具の中かな?
トイレの中?
打ち止めは考えうる隠れられる場所を巡り、公園を走る。
そして、だいだい探し終わったのか、首を傾げながら、公園を見回し始めた。
「どこにいるのかな〜ってミサカはミサカは・・・。」
ふいに、気付いた。
自分はまた一人だ。
あの人に置いていかれてしまった。
自分でかくれんぼをしようと言ったのに、今更ながら後悔が押し寄せてくる。
誰もいない公園に一人ぼっち。
「あなたはどこにいるの?ってミサカは・・・ミサカは・・・。」
うっうっ、と打ち止めは泣き始めてしまった。