とある魔術の禁書目録CP

□キミに届けたい言葉
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「愛っていう漢字はですねー。」


つまらない授業が淡々と続く。
国語という授業には本当に意味があるのだろうか。
本をたくさん読めばいいだけの事じゃないか。
当麻はそう考えながら、黒板に書かれた文字をぼんやりと見つめる。
しかし、本なの読まない自分が言っても、何も意味がない事は分かったている。
国語という授業、以上に意味がない。


「平安時代からー。」


国語教師の間延びした声が生徒の眠気を誘って仕方がない。
チラリと当麻が教室を見渡してみると、大半の生徒達が夢の中へと旅立っていた。
もちろん、土御門や青髪ピアスも、その中の一人となっている。


「・・・愛・・・愛している・・・。」


当麻はポツリと呟いた。
それを伝えたい人間がいる。
しかし、それは伝えてはいけない言葉。
自分のためにも、相手のためにも、伝えない方がいい言葉。


「でも・・・。」


言いたいし、言われたい。
当麻は目を閉じ、暗闇の中で、その人の顔を思い浮かべた。
視覚が閉ざされ他の感覚が敏感になった、その時、窓から風が入り、当麻を撫でて通り過ぎるのを感じた。
さっきまでは風なんか気にもしなかったのに。
そして、聴覚にはチャイムの音が飛び込んできた。
今日、最後の授業がようやく終わりを告げ、授業中の静けさが一気に壊される。


「ん・・・。」


ぼんやりと座っていただけで強張った身体を当麻も伸ばし、授業からの解放を喜ぶ。
さて、後はHRだけ。
早く帰って、居候にご飯を作らなければ。


「今日の夕飯、何にすっかなー。」


手軽で美味しいもの、それは何だろうか。


「はーい、皆さん、席に着くんですよー。」


小萌先生が教室へと入ってくる声をBGMに当麻はそんな事をぼんやりと考えるのであった。
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