その他CP
□年月の重み
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彼が不意に見せる遠い目。
私がお姉ちゃんの事を思い出す時と同じだった。
「どうしたの?暗い顔しちゃって!」
私は彼にそんな顔をしてほしくなかった。
だから、私だけは明るくなろうと思う。
彼が作ってくれた笑顔を返したい。
「んー、また来たのかよ。」
コータ君は呆れた様子で私の顔を見た。
「だから、お礼させてって言ってるでしょー!それをことごとく断ってるのはコータ君なんだよ!」
「はいはい・・・。」
ふぅ、とコータ君はため息をつく。
そのため息は呆れではなかった。
切なさ、それが多分に含まれていたのだ。
「・・・本当にどうしたの?」
ブルーに触るためにしゃがんでいるコータ君の横に私も同じようにしゃがみ込む。
「んー、ただ気付いただけだ。」
「気付いた?」
コータ君の言葉に私は首を傾げた。
何に気付いたと言うのだろうか。
「一番、言わなきゃいけなかった事。」
「へ?」
「何でもない。」
コータ君は首を横に振って、ブルーを抱きかかえながら立ち上がった。
「何でもないんだよ。」
そう繰り返したコータ君は、気付いた事を悔やんでいるようだった。