その他CP
□覚えてる
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麻依が入院した。
喘息が酷くなったため、念の為という事だ。
コンコンッ
牧原麻依、とプレートの付いてある病室の扉を公太はノックした。
「はーい。」
小さいが、可愛らしい声がすぐに病室から聞こえてきた。
「入るぞー。」
なぜか公太はおそるおそる扉を開ける。
「あ、公太!」
迎えてくれたのは満開の花を思わせる笑顔。
「よ、よっ!お見舞いに来たぜ。」
公太は思わず声を上擦らせる。
胸がドキドキうるさかった。
いつもと違う場所で麻依を見ているからだろうか。
病院という真っ白な世界。
儚げさ可愛さとでも言えばいいのだろうか。
良く分からないが、とにかく麻依が可愛く見えた。
「ごめんね・・・、昨日約束してたのに・・・。」
麻依がしょぼん、と落ち込んだ様に言う。
公太と麻依は昨日、公園で遊ぶ約束をしていた。
しかし、麻依の喘息が酷くなってしまったため、その約束を実行する事ができなかったのだ。
「いいんだよ、約束なんて。そんなもん、またすればいいだけだろ。」
公太はベッドの近くにある椅子に座りながら明るく言った。
「・・・うん、そうだね。」
麻依は安心したように頷く。