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□信愛なる奇妙な・・・
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「この前、レーイさんがまたハンカチを拾ってくれたのよね〜。」


マーリーが嬉しそうに私に話しかけてきた。


「貴女の事だから、どうせわざと落としたんでしょう?」


私が呆れながらそう返してやると、彼女は、まぁね、とウィンクをする。
わが友人とは言え、女性がこうも彼に夢中になる様を見るのは男として面白くない。
それに、彼をマーリーに慣れたのか、少しは会話を交わすようになったようだ。
本当に面白くない。
おざなりな会話をし、自分の家の扉を開けようとして、私はピタッ、と止まってしまった。
自分が先程抱いた感情に疑問を持ったからだ。
マーリーは美人で騒がしい、もとい、楽しい隣人ではあるが、そうも不快を強く抱く程、私は彼女に好意を持っていただろうか。
いや、持っていない。
彼女、セリアが逝って、たとえしばらくの月日が経ったとはいえ、私にはまだ未練らしいものがある。
そんな状態で次の恋愛をするなど、私はそんなに神経は図太くない。
まぁ、レーイが女性だったら、私が命を張って助けた大切な友達だ。
恋に似た感情を抱かないわけではないが、彼は男だ。


「・・・入らないの?」


私同様、まだ外に居たマーリーが扉の前にまだいる私を怪訝そうな目で見てきた。


「・・・貴女こそ、入らないんですか?」


まだマーリーがいた事に驚いて、私はそう尋ねる。


「固まるあんたの間抜け面が面白くて。」


彼女はからりと笑って、私が何かを言う前に自分の家へと逃げ込んでしまった。
別に、間抜け面をしたくてしたわけではない。
私は感じた怒りを、ため息として表に出し、今度こそ自分の部屋に入った。
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