とある魔術の禁書目録CP2

□君の手を
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「こめん、美琴。」
「ううん、で、今日はどんな不幸に巻き込まれたわけ?」
「それがさー、隣の部屋の奴がボヤ騒ぎしてさ・・・。」
「え?大丈夫だったの?」
「それが、ただの殺虫剤の煙で、ただ周りが騒いだだけだったんだよ。」
「何よそれ、馬鹿ねー。」

あはは、と美琴は笑った。
すると、当麻も笑いだす。

「ん、じゃあ、行くか。」

ひとしきり笑った後、当麻は自然に美琴の手を握った。

「・・・冷てー。」

そして、笑いながら、美琴の手を見るのだった。

「あんたが、てぶくろしてくるなとか言うからでしょ!」

その態度に、美琴はムッと来て、思わず声を上げる。

「悪い悪い。」

そう言いながらも、当麻は笑顔で、美琴のもう一方の手も掴み、両手で包んできた。
そして、そのまま当麻は美琴の手に息を吹きかけてくる。
恥ずかしさで美琴の頬が赤く染まった。

「いや、凍えた美琴の手をさ、温めるのは俺がいいなーって、ふと思ってさ。」
「ば、ばっかじゃないの!」

さらに美琴は顔を赤くして、叫ぶ。

「もう、恥ずかしい奴なんだから・・・。」

叫んでも離れない手に、美琴は思わずそっぽを向いてしまった。
さっきまであんなにも寒かったのに、当麻が手を握ってくれただけで、こんなにも暖かくなった。

「あったまったか?」

当麻が尋ねてくる。
美琴は小さく頷いた。

「なぁ、美琴。」

呼ばれたの、そっぽを向いていた顔を美琴は戻す。

「今日は人が多いみたいだから、はぐれないようにずっと握ってていいか?」
「し、仕方がないわね!あんたはすぐにどっか行っちゃうから、握っててあげるわよ!」
「ん、ありがとな。」

そして、2人は手を繋ぎ、街を歩き始める。









てぶくろがなくても、こんなにも暖かいなら。
デートにはてぶくろを持っていかなくていいな。
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