とある魔術の禁書目録CP2
□お茶会
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「・・・インデックスはいないのかい?」
あれから1週間後、ステイルが再び訪れた時に、上条宅には当麻しかいなかった。
「ああ。小萌先生とこ行った。だから、上条さんは寂しくお留守番なんですよ。」
少し落ち込む当麻を目の前にステイルはしばし黙考していたが、不意に微笑んだ。
「まぁ、これからはいつでもできるからね。インデックスとはまた今度にしよう。」
ステイルの言葉と笑みに当麻は首を傾げる。
「?何の話だよ。」
「まだ秘密さ。キッチン借りるよ。」
ステイルは当麻の問い掛けをさらりとかわし、家主が許可する前に家の中へと入って行く。
当麻はなおも首を傾げながら、ステイルがローブとマントを脱ぎ、キッチンの前に立つのを見守った。
珍しく持ってきていた鞄からステイルは1つの缶を取り出す。
「・・・紅茶?」
当麻は缶に書いてある『アールグレイ』という英単語を目にして、驚いた。
「そうだよ。日本でも有名な銘柄な紅茶だ。ストレートで飲むのもいいが、ミルクティーにするのがお勧めかな。だから、今日は紅茶用のミルクも持ってきた。」
楽しそうに語るステイルを見て、当麻は少し申し訳なく思った。
ステイルは本当に紅茶が好きなようだ。
当麻の家にステイルは頻繁に来るようになった。その時に紅茶を出せたら良かったのに。
「上条当麻、君は机の上を片付けてくれるかい?アクセラレータが来る前に準備をしないといけないからね。」
そう指示しながら、ステイルは鍋に水を入れてお湯を沸かし始める。
「おっ、おう!」
当麻は返事をしながら、心に温かいものが流れるのを感じていた。
ステイルと一方通行が自分の為にお茶会を開いてくれる。
「へへっ・・・。」
思わず締まりのない笑みを浮かべてしまった。
こんな幸せがあっていいのだろうか。
ちょうど紅茶を蒸らしている最中に一方通行が来た。
「なんだァ?あのシスターはいねェのかよ。」
一方通行の手には大きめの箱。
駅前の洋菓子店の箱だ。
「・・・買い過ぎた。」
一方通行が不機嫌に呟くが、当麻は本当に嬉しそうに笑った。
「でも、サンキュー!」
その笑みに一方通行はほんのり頬を染めて、顔を逸らした。
「紅茶が入ったよ。お茶会にしないかい?」
その時、ステイルが玄関に当麻達を呼びにきた。
当麻と一方通行は顔を見合せて、頷いた。
「おぉ!」