とある魔術の禁書目録CP2

□楽しい日
1ページ/5ページ

久しぶりの雪が降った次の日は晴天だった。
しかし、雪の積もった道を動き回るのは嫌で、垣根は一方通行の家でのんびりする事にした。
最初、一方通行は嫌な顔をして垣根の入室を拒否していたが、垣根がくしゃみをすると入れてもらえた。
やはり、一方通行は優しいのだ。
だから垣根は遠慮なく絨毯の上に寝転がっていた。
窓の外を見ると晴天だと言うのに、雪は溶ける気配がまったくなかった。


「なぁ・・・雪が溶けたらなんになる?」

「・・・水に決まってンだろ。」


垣根が尋ねると、そう呆れた声が返ってきた。


「はっ!リアリストだな!春に決まってんだろ。」


垣根は一方通行を鼻で笑う。


「・・・ほンとにテメェーはロマンチストだな。似合わねェくせに。」


そう言う一方通行の顔は呆れ果てていた。


「たまには良いだろ?現実逃避も。」


垣根は少し決まりが悪くなったので、そっぽ向く。


「ヘェヘェ、テメェーは天使だしな。」


その一方通行の言葉に垣根はむっ、とすした顔をする。
自分でもあの羽は似合わないと思うのだ。
それを他人に言われるのは嫌だ。


「うるせぇ、この堕天使。」


光には暗く、闇には明るい、中途半端のくせに、それでも己を悪と呼ぶ一方通行。
まさに堕天使だと垣根は思う。


「・・・いいねェ、その響き。」


一方通行は笑った。


「で、テメェーが白い羽だから、俺は黒い羽か。」


そう言って一方通行は窓の外を見る。


「ン?」


そして、何か気付いたようだ。


「じゃあ、天使サマ。あの不幸な少年を幸せにしてみやがれ。」


その言葉に垣根も窓の外を見た。
そこには黒髪のいたって平凡な少年がいた。
少し小走りに道を進んでいる。
そして、雪で隠れて見えなかったマンホールの上に不幸にも乗ってしまい、盛大に転けた。


「くっ・・・あははは!」


垣根は思わず大声で笑ってしまった。
その笑い声は窓越しでも聞こえる程だったのか、その少年は自分を見ている一方通行と垣根に気付いた。

笑うなー!

声は聞こえないが、その少年はそう怒鳴っていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ