とある魔術の禁書目録CP2

□貴方のためだけの
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小麦粉、卵、砂糖、塩、バター。
キッチンに並べられたさまざまな材料。
その材料を慌ただしく扱っているのは、赤髪の男だった。


「ステイル?何を作って・・・スコーンですか?」


それを目撃した神裂は声をかけながら、材料を見回した。
紅茶のお茶請けとして良くイギリスで食べられるお菓子であるスコーンの材料と同じだ。
ステイルは紅茶が好きだ。
お茶請けも自分で作っている事が多い。
この前も一緒にお茶を飲んだ時に出されたスコーンは美味しかった。
しかし・・・スコーンを作るのには何かが足りないような・・・。


「あぁ、神裂。」


今気付いたというようにステイルは少し驚いた様子で振り返った。


「いや、クッキーを作っているんだ。」


ステイルの言葉に神裂は納得した。
ペーキングパウダーが足りないのだ。
スコーンを膨らませるための材料がないのだ。
そして、牛乳もない。


「クッキーですか・・・。」


神裂はステイルが生地を作る様子をぼんやりと眺めた。
・・・いつもより真剣に作って見えるのは気のせいだろうか?


「?」


ふと、視線を材料の方に戻せば、不思議なものを発見してしまった。


「ハート・・・。」


それはハートの型抜きだった。


「っ!?」


分かりやすくステイルの肩がびくりっ、と震えた。


「ぼっ僕の趣味ではない!ただ・・・その方が喜ぶからで・・・。」


わたわたと言い訳をするステイル。
そんな必要ないのに。
神裂はその様子に明日の日付を思い出す。
3月14日だ。
そう言えば、2月は恥ずかしくて渡せなかったステイルに、当麻の方がチョコレートを渡していた。


「そうですか。頑張ってくださいね。」


神裂は思わず笑みを浮かべて言った。
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