とある魔術の禁書目録CP2

□大好き
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ベランダで煙草を吸う。
当麻は煙草の煙が苦手な様だから、部屋では吸わないようにしている。
煙が中に入らないように窓も閉めて。
ガラス越しに感じる視線。
当麻がガラスの傍に座って、自分を見ているのだろう。
吸い終わって、煙草を投げ捨てる。
捨てた煙草はちゃんと完全に灰にしておいた。
部屋へと戻る際に見えてしまう、当麻のぼんやりと自分を見る上目使い。


「なんだい、そんなに見て。君も吸いたいのかい?」


高鳴る鼓動を誤魔化す為にステイルはそう言って、煙草を差し出した。


「あ、わりー。別にそんなわけじゃねーんだけど・・・。」


当麻は苦笑しながら、そう言った。
ステイルを見ていただけ。
とかは絶対に言ってほしくない。


「ん、さて、と。ステイルがいる事だし、英語の宿題でもするかな〜。」


当麻がわざとらしく会話を打ち切る。
ステイルもそれに便乗した。


「じゃあ、僕は本でも読んでいようかな。」


ステイルは本棚に向かう。
本と言っても、当麻の本棚には漫画しかない。
しかし、あまり小さい頃に触れなかったもので、とても面白いと思う。
しばしの間、静かな空気が部屋の中に流れる。
ステイルはチラリと当麻を盗み見た。
真剣に勉強をしている姿。
あまり見れない顔だ。
最初に惹かれたのは、その顔だったと思う。
戦いの中で見た、あの真剣に誰かを守ろうとする顔。
僕なんかよりも数倍格好良い。
もう一度、と目を上げると、当麻と目が合ってしまった。


「ん?どうした?」


当麻の問い掛けに思わず戸惑う。
君を見たかっただけ、なんて言えるはずがない。


「あ、いや・・・。」


思わず目を伏せてしまった。


「あぁ、紅茶のおかわりか?」


それを当麻が都合よく解釈してくれて、難を逃れる。
当麻がステイルのカップを持って、立ち上がった。


「そう、遠慮しなくてもいいぜ。」


当麻は立ち上がったついで、と言うようにステイルの頭を撫でた。
顔が赤くならないように必死で平常心を保つ。
とても優しい感触だった。
当麻に撫でられるのは好きだ。


「僕が君に遠慮するわけないだろう?」


誤魔化すようにむっとした表情で言うと、はいはい、と当麻は苦笑した。
その仕方がないな〜という顔も好きだと思う。
受け入れられている、そんな感じがするのだ。


「・・・・・・。」


キッチンに立つ当麻を思わず眺める。
自分の為にキッチンに立ってくれる当麻の後ろ姿も気に入っている。
当麻の仕草、1つ1つが自分を翻弄していく。
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