BLEACH 短編 グリムジョー

□俺とあいつと**
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俺はあいつが嫌いだった。

いつもヘラヘラ笑って、俺に話しかけてくるのが無性に腹が立った。

『グリムジョー様の好きなモノって何ですか?』

『グリムジョー様って背が高いので羨ましいです!』

「うぜえ…。黙れ。」

何度こんな風に会話しただろう?

しかしもうそんな会話さえできない。

俺があんなこと言ったせいだ………

「お前、いつもうぜぇんだよ!!
消えろ!」

何故かその日俺はいつも以上にあいつの存在に腹が立った。

『グリムジョー…様……?』

見るとあいつは大きく目を見開いて涙を溜めていた。

「なっ!!」

『……………ごめんなさい。……失礼しました……。』

そう言ってあいつは消えた。

俺はいなくなって清々したつもりだった。

あいつはそれから消息を絶った。

少し気にはなったのが、別に関係ないと思っていた。

数日後、気まぐれに宮から出て走り回っていたら俺はあるモノを見つけた。

あいつの死体だった。

驚きと疑念が俺を包む。

俺は立ち尽くすばかりだった。

すると、俺の目から俺の意思関係なく涙が溢れた。

……意味、分かんねえよ。

俺はあいつがいなくなって清々したんだろ?邪魔がなくなったんだろ?だったら、何で?

もうあいつがいないという残酷な事実が、俺に突き刺さる。

俺はあいつをどう思っていた?

膝を付いて俺は、あいつだったモノに手を伸ばす。

手を伸びして抱きしめた途端、俺はある感情に辿り着く。

最も人間臭くて、認めたくない感情に。


しかし、今気付いても

「……遅ぇんだよ………」

人間なんか嫌いだから、弱いから、同じなんかじゃないから……でも……

俺は手に力を込め、強く抱きしめる。

俺はお前を******

お前は、どうだったんだ?
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