視界は詩界。

□ego is dream
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幻想の窓には、柔らかな雨のカーテン。
深い愛情の暗幕。
珊瑚礁が綺麗な水槽に、打ち上げられた幽霊船。
底に眠る、不可思議な殻の卵。
新月の隙間から覗く淡い光りを、ずっと眺めていた。


空に浮かぶ水の泡、口笛のように遠くへ。
嘘はついていない。
ただ、空や海の圧力で湾曲するだけ。
小さな水平線まで響く音色。


その向こうに見える景色には、何がある?
満月の真下、人気の無い交差点の中心で、赤と青を背負って両手を拡げてる。
電灯も虫も眠る頃に、幻想と重なっていく。


空気が遮断されて、窒息していく言葉。
比例して、純粋に染まっていく水槽。
誰にも聞こえないなら、もう何も言わない。
自己中心に廻る世界の夢ばかり見てる。


ら、らんら、ららら。
ら、らんら、ららら。
一人だから夢を見る?
夢を見るから独りぼっち?
真珠のように輝く卵の未来は……。


夜の空が赤いのは、重なった世界の所為。
危険、止まれ、警告空。
行き場を無くしたなら、青い道を渡ろう。
水の世界でも構わないから。
幻想に殺されてもいいから。
壊れかけの月を目印にして、何処かを歩こう。
全てが眠った、妄想の夜に。

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