私的に詩的。

□静脈空
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青黒い空、根付くように伸びて、脈打つ。
静か過ぎる雨は、泥のように降り注ぐ。
あぁ、鼓動が消えない。


立冬に震え、寒さに青は映える。
景色が凍るのは、寒空の所為?
降らない雪と悴む手では、下がる温度に気付けない。


どくどく、と鳴く空。
開いた傷口からは雨。
激しいばかりの、方向性の無い怠惰。
空を眺めては、そんな事ばかり考えていた……。


空、青、静、脈、血、黒、―――腕。


冷え性な体は、冷え症な心は、病んでしまった。
動かせない指先で、ぎこちなくなぞった。
窓の外に映る空と、窓の内に映る腕を重ねて、何度もなぞった。


冬に音は消えるから、小さな空の鼓動が聞こえる。
やがて腕を見て、流れる雨に優しさを覚えるだろう。
降り注ぐ使い古された血に、笑みを溢すだろう。
嘆きを吐いても意味は無い。
白く染まり、消える。


静かに脈打つ空、谺。
虚ろいだ銀世界。

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