私的に詩的。
□うづき
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雨の上、揺れる月。
厭らしい曇を消す妄想の裏側では、地面を這いつくばる魚だと笑っていた。
こんなにも悲しいのは何故?
気味の悪い退屈に愛想笑い。
時間が延びる夜に、乱れた雨音は雑音。
耳を澄ますと、何故か遠退いて、消える。
静けさが襲い、煩い鼓動だけが部屋中に響いた。
漏れだす、曖昧な吐息、曖昧な喘ぎ。
稚拙な孤独の演奏会。
愛されないなら、愛さない?
愛せないから、愛されない?
愛したいのに、愛せない?
理解出来ない愛は、愛してはくれないのだろうか……?
愛してください。
愛さしてください。
幽霊と踊れ。
生まれた意味を問いながら。
静か過ぎる、曲とは言えない音を感じながら。
此処にいるよ。
此処で生きているよ。
見えない月は、相も変わらず煌々としているか?
闇の中、欠ける月。
清々しい程の、都会の宵の黒では、瞼を下ろす必要すらなかった。
軽く片手を挙げて、あの月と適当に挨拶した。
不貞腐れの、不敵な笑みと共にな。