夢小説

□りんごみたい。
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「昨日さぁ、駅前にめちゃ可愛い子いてさ…」

「昨日のNステみた?」

「みたみた!」


ガヤガヤ…


「…うっせー…」


皆さん、こんにちは。
神川志織です。

今は物理の時間なんだけど
今日、担当の先生が休んだから、急遽自習になった


…んだけど


「マジうっせー」

「こらこら。女の子がそんな乱暴なことば使っちゃいけませんよ〜」


突然前から聞こえた声に反応し、机から顔をあげ


「…なによ御幸」


声の主に声をかける。


「ははっ。そう睨むなよ!可愛い顔が台無しだぜ?」


このチャラ男に可愛いって言われても信憑性に欠ける。
てか、こんだけうるさかったら昼寝できないし…
あーイライラしてきた。


「イライラにはカルシウムがいいらしいぜ?
ってかチャラ男ってひどくね?俺泣いちゃうよ?」


お前が泣いてもかわいくねーよ。
ってかアレ?なんで私が思ってたこと…


「全部声に出てたぜ?ちなみに今のもな」

「あら?そうなんだ。メンゴメンゴー」

「はっはっはっ。謝られてる気がしねーよ!」


私と御幸は一年から同じクラスで、ただの友達…
所詮、友達以上恋人未満ってやつだ。

…そう思ってるのは御幸だけだけど。


「てか、昼寝はダメだろ。課題のプリントでてるんだし」


「ふふん。私を甘く見るな!チャラメガネ!
課題なんてもう終わってますー」


バン!と机の上にあるプリントを叩く。
私だってね、やることやったから昼寝しようとしてんのよ!


「ふーん。志織にしては早いな…ちゃんと裏もした?」

「えぇ。もちろん裏もちゃんと…裏?」


いやいや待って…
今このチャラ男、裏って言った?

ま、まさかね!裏なんてあるわけ…


「ま、まじか…」


プリントの裏には…
応用問題がびっしりと書かれていた。


「ははははは!表しかしてねーじゃん!」

「う、うるさい!」


あーもうどうしよう!
残り時間もう少ししかないじゃん!


「はははは…腹いてぇ…!」

「もう!笑いすぎ!御幸もなんかいい方法考えてよ!」

「ははは…いい方法ってなんだよ」

「このプリントを後15分で終わらせる方法!」


あー。たしかに志織の頭じゃ15分でこのプリントは無理だなーって言ってるコイツを殴りてぇ…!!


「あっ!そうだ。俺教えてあげようか?」

「は?」


今、なんて言った…?
教えてあげようかって!教えてあげようかって言った!?

え、うそ。めちゃくちゃ教えてもらいたい!


「え、えーっと…いいの?」


もちろんって爽やかな笑顔でいう御幸。
クソ…悔しいけどかっこいいぞバカやろう!


「えーっと…じゃあ…お願いします」


そう言うと私は、御幸にぺこりとおじぎをした。 


「ははっ。素直じゃん、珍しく」

「う、うるさいなぁ…」

「まぁ、さっそくですが講習代を頂こうかな?」



……は?


「はぁ!?ちょっと待ってよ!私今月金欠なんだーって話したよね昨日!」

「あー。たしかにしたな。
まあでも心配しなくても、講習代はお金じゃないから。」


お金じゃない??


「はあ?なにそれ…お金じゃなかったらなんな…」


お金じゃなかったらなんなのよ。
そう言おうとしたが
それは御幸に唇を塞がれたから出来なかった。


「講習代、いただきました♪」

「い、今…キ、キス…」

「うん。キスしたよ?」

「さ、さらっと言うなあああああ!!!」

「ははっ!志織、顔真っ赤だぜ?まるで




りんごみたい。


(う、うるさい!ってかなんで私にキス…)
(そりゃあ志織が好きだから♪)
(は!?ふざけてんの!?)
(ふざけてねーよ。…んで、返事は?)
(わ、私だって好きだバカやろう!)
(うん。知ってる♪)
 

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