Main

□馬鹿な想い人
2ページ/3ページ




>
「陸奥ー!!地球にはまだ着かんのかのぅ?」


部下に船の操縦をさせているため、見張りをしていると後ろから自分たちの上司の声が聞こえた。


「今回、地球には行かんきに。」

「えー!!地球はすぐそこやき、ちくっと…」
「駄目じゃ。」



なるべく冷たく言い放つ。
そうでもしないと甘やかしてしまいそうだから……。
好きだから、甘やかしてしまう……
坂本のために地球に行っても、どうせキャバクラとかいうところに行くに決まってる…


自分はこんなにも想っているのに…


言えば楽になるかもしれないが、決して言わない。
て、言うか…………




言えない。



ただの上司と部下。


「いつもは寄ってくれるのに、どうしたがか?」


坂本が不思議そうに顔を覗き込んでくる。
あまりの近さに顔が微かに赤くなってしまったのが分かる……




「な、何でもないきに……」



とっさに顔を逸らすもきっと赤くなったのはバレてる…

自分だけこんなにドキドキしているのが、馬鹿らしく思えてくる。


どうしてこんな奴を好きになってしまった のか……


胸が痛くなる………。



「なに人の顔ジロジロ見t…」
「可愛いのぅ…」

「はぁ?」



坂本の言葉に思わずすっとんきょうな声を上げてしまった。



てか、こいつは今なんと言った……?

可愛い……?

わしの事を可愛いっ!!?



「じょ、冗談は顔だけにしろッ」

「冗談じゃないきに。」



いつになく真剣な顔の坂本……。


こいつはどういうつもりなんだ。

わしのことを好きでもないくせに……。

からかうのは止めてくれ………。



「わしの気持ちも知らんくせに…」



思わず呟いてしまった…
言うつもりなかったのに、つい言ってしまった…。



「わしのことを何とも想っとらんくせに、そげなこと言うな…!!」




最悪だ…

なんで………?

本当に言いたいことは、こんなことじゃな いのに。

辛い……

泣きたい……




「……陸奥はわしのことが嫌いがか?」




………………違う。
嫌いなわけない。



「陸奥……?」





………………好き。
お願いだから、そげな悲しそうな顔するな ……。



「…………好きじゃ…。」

「嫌いじゃなか?」

「す、好きじゃと言っとるじゃろ、う!!?」


言っている途中、体が坂本の匂いに包まれた。

温かい……人の温もりを感じる…。

わしは今………抱きしめられているのか?

なんで?
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ