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□濃紺に咲く
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ぼーっとそんなことを思っていると、迫力のある大きな音が辺り一帯に響いた。
「あっ、始まったよ!」
楽しそうに、はしゃぐレビィを。
こうして隣で、一番近くで眺めていられる日がくるとは。
ガジルは薄く笑うと、夜空に咲き始めた花火に目を向けたのだった。
「凄かったねー!」
今年は今までで一番多く打ち上げたらしいよ、と興奮冷めやらぬ様子のレビィ。
帰り道を行く人の波に飲まれ、歩く。
はぐれないようになのか、ガジルの浴衣の袖をきゅっと掴んでいる手が愛らしい。
その手をとり、ぎゅっと握る。
「ガジル?」
そのまま人の波を抜けて、路地裏へ。
その方向は、ガジルの家。
「明日休みだろ?」
「え、うん…そうだけど」
戸惑う様子のレビィ。
周りに人影は、ない。
それをいいことに、ガジルはレビィの腰を抱き寄せ耳元で囁く。
「帰さねぇよ」
したり顔で囁かれた言葉は甘い。
レビィは顔を真っ赤にさせ、黙ってこくこくと頷いた。
頬を赤らめながら困ったように頷くその姿は、なんだか艶かしい。
帰ったら、その白い首筋に噛み付きたい。
そんなことを考えながら、ガジルはレビィの手を引いてカランコロンと帰路を急ぐのであった。
→あとがき