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□独占欲
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離したくない。

ずっと傍に置いておきたい。

誰の手にも、渡したくない。

彼女は『物』じゃないって、わかってるけど。



ガジガジ。


ガジルは一人、自分の部屋で鉄を頬張りながら、初めての感情に戸惑っていた。


レビィと心通わせ、付き合うようになってから2ヶ月。

全く触れてないわけではない。

恋人となったわけだし、
口付けもそれ以上のこともした。

最初はレビィが自分を見ていてくれることがわかるだけで十分だった。


のに。


最近どうも、おかしい。

レビィに会いたくて触れたくて

…この腕の中にずっと閉じ込めておきたい、なんて。


大事にしたい、とは思うし

無理をさせたくない、とも思う。

だが、ガジルも男だ。

その辺の欲求がないわけじゃない。


…と、一人で悶々と考えていたところ。


ピンポン。


そうだった。

レビィが来る予定だったのを半分忘れていた。

玄関を開けると、愛しい妖精の姿。


「おはよう、ガジル!」

「…おう。」


レビィを見た瞬間、もう、なんか。

喰らいたくなる、というか。


「まぁあがれよ」


冷静に言うが、心の中では大変波打っているガジルである。


「お邪魔します」




二人が家の中で会うときは、
いつも決まった予定がなくだらだらするときだ。


「どうする?ガジル、どこかいこっか?」


どこか行くよりも二人でゆっくりしたいのが実は今の本音だが。


「どっか行きてぇとこあんのか?」

「え?んー…そう言われると、今は特にないけど」

「じゃあ今日はいいだろ。俺は出かける気分じゃねぇ。」

「…ガジル、なんか怒ってる…?」


レビィが不安げな瞳でこちらを見つめてくる。


違う、そうじゃない。

自分の欲求を抑えるのにいっぱいいっぱいなだけだ。


「そうじゃねぇよ」


できるだけ優しく、レビィの頭を撫でてやる。

安心したのか、レビィはいつものように本を取り出した。

いつもならなんとも思わないが。
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